🕯絵ろうそくまつりを巡る🕯 御薬園②

混雑があるわけではないので、ほんの少しの時間なのに長く感じられた待ち時間の末、いざ入場の時がやってきました。

鶴ヶ城は「動」の舞台、御薬園は「静」の舞台。対なる二つの空間それぞれを楽しんでこそ、この催事の真髄がわかるでしょう。
賑やかに種類様々な趣向を凝らした明かりを使う動の舞台に比べ、御薬園は基本的に竹灯篭やもともと存在する石灯篭などで静謐な空間を演出しています。
無数の蝋燭の明かりで浮かび上がる庭内は、歴史深い名勝地ならではの厳かさがあり、冷ややかな冬の外気と相まって、自然と身の引き締まるような思いがします。

足元は相変わらずの溶けかけの雪で歩きやすい道ではありませんが、点々と作られた雪の窪みに小さな電気ろうそくで明かりがともされているので、特別な時間をゆっくりとした歩調で存分に味わうことが出来ます。
心字池の外縁をゆっくりと巡れば、道に沿って御覧のような竹灯籠の絵ろうそくが華々しく燃えています。
和ろうそくはその大きく長い炎と、炎に不規則な揺らぎがあることが特徴です。蝋燭の灯という言葉から想像するイメージとは裏腹に太く長く燃え盛る姿は、草木の眠る冬の季節に、思わぬ力強さを感じます。